どうも、めんたいです。

連載企画の「めんたいの持論」ですが、前回からずいぶん時間が経ってしまいました。

まぁ、気が向いたときにやるというスタンスなのでお許しください。

今回は「リスクテイク」と「リスクヘッジ」という観点でお話します。


力不足ゆえの”リスク”テイク

レースをしていれば、ここはリスク承知で攻めなければならないという場面に出くわします。

例えば「ここで並んだことはないし、あまり自信はないけど、ここしか抜けない!」みたいな。

しかしそこで仕掛けず、リスクヘッジを選んでしまうと結局抜けないまま後手でゴールすることになってしまう可能性が高いですよね。

もちろん、プレッシャーをかけ続けてミスを誘いオーバーテイク、というのも手ですが、いわば他力本願になってしまうわけで、ここはやはり自分の手でしっかりと先手フィニッシュを掴み取りたいところ。

そういった場面だと、じゃあしょうがない一か八かで、となるわけですが、やろうとしていることが「一か八か」、つまり「リスク」であると認識している時点でそもそも”力不足”なのではないかと感じます。

つまり、リスクになると思うのは、それを遂行できるだけの技量だったり見込みが少ないと感じているからであって、それをやろうものなら痛い目に遭う確率も高いよね(=リスク)、と暗に理解しているわけです。

スプリントレースなどで、これに勝たなければ元も子もない、という状況ならやる価値はあると思いますが、少なくとも、この連載で重きをおいている「耐久レース」、加えて「シリーズ戦」ということを考えると、余計なリスクは避けるべきだというのが持論です。

仮に”リスクを冒さなければいけない”場面に出くわそうとも、それは力不足を悔やみましょう。

今持ち合わせている力の120%を出そうとして全てぶち壊してしまうかもしれないより、100%の力で手堅くできる範囲のレースをしたいな、と感じます。

いくらリスクを冒したところで、できないことはできないのです。


レースは99%のリスクヘッジと、1%のリスクテイクでできている

したがって、私は基本的に「リスクヘッジ」の考え方でストラテジー・レースを組み立てます。

例えば、他車と接触するリスクがあるならコース上で決着はつけずストラテジーで決着をつけられるように組み立てる、とか。

ドライバーにとっては我慢を強いられるので、あまり楽しくないでしょうが。

また、ドライバーに対しても「リスクヘッジ」を求めることが多いです。

仮にリスクを冒し続けて、ターゲットタイムに対し毎周-1秒で周回できたとしても、1度スピン等で10秒ロスしてしまったら、10周分のリスクテイクがおじゃんになってしまいます。

それくらいなら、リスクを冒さずターゲットタイム±0秒で周回してくれたほうが、レースの組み立てやタイヤ・燃料のコントロールという観点からもよっぽどありがたい。

では、「皆さん必ずリスクヘッジを選びましょう、リスクテイクは絶対悪です!」と言いたいのかと言われるとそういうわけでもない。

もちろん私だってたまにはリスクテイクを選びます。

ただ、リスクテイクを選ぶにしても自分の中で基準があります。

それは、「リスクテイクの先のエラーを確実に予測でき、かつそれを許容できる場合」

これを満たすならリスクテイク、満たさないならリスクヘッジと決めています。

具体的な例を挙げるなら、先のGWEC_GT7 Rd.2の4時間経過時点、SC導入時のドライバー交代

これは(レースリポートにも書きましたが)失敗したらどうなるかというのをしっかり予測して、かつ、大したデメリットもなさそうだなと判断したため、リスク(と言うほどでもないもの)を冒したわけです。

一方で、ここで無理にしかけて追い抜くか否か・・・という例だと。

これは失敗した後何秒ロスするかはっきりとわからない。スピンなのか、コースアウトなのかなどによっても変わる。そして、そのロスを許容できる状況なんてそうそうない。後ろ5秒以内にライバルがいる、といった場合だと抜かれる恐れもある。よってリスクヘッジ、と。

自分の中の物差しで「余計なリスク」か否かを判断して、リスクテイクかリスクヘッジかを選ぶ。

これが戦況を見極める、ということなのかなと感じています。


シリーズ戦でチャンピオンを獲るには「安定感」が求められ、安定感を高めるには究極のリスクヘッジが有効なわけですが、チャンピオンを手繰り寄せる一手、つまりシリーズ1勝、2勝・・・を求めるなら隠し味程度の「起爆剤」、すなわちリスクテイクも必要になる。

このバランスは難しいんですがね。